Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,年代・筆者の推定ができない,もしくは疑問や異論のある古筆切について,加速器質量分析法(AMS)による^<14>C年代測定を行うことで,その書写年代,さらには歴史学の史料としての価値を明らかにするところにある. そこで,まずは書跡史学・古文書学の視点から書写年代が明らかにされている古経典・古筆切などのAMS^<14>C年代測定を行った.また異なる二台の分析計での測定による差異についても検討した.その結果,和紙資料は,木炭や土器付着物などの考古学資料で問題となるold wood effectやreservoir effectによる年代のずれが小さく,書跡史学的年代と^<14>C年代とがよく一致すること,異なる測定器によって得られた^<14>C年代間にも有意な差がないことが示された. その上で,書写年代に関して疑問のある古筆切・古文書の^<14>C年代測定を行った.古筆切とは平安・鎌倉時代などに書かれた古写本の断簡である.しかし,層裁断されたものであるため,完本に比べるとその書写年代を求めることが困難である.ただし,古筆切にはその書写名を記した極札が付されている.この記載が確実ならば,その人物の生没年などから古筆切の年代を求めることができる.しかしながら,書風・字形・筆勢など書跡史学の視点からは,極札とは異なる人物の書写と考えられる古筆切も多く存在している.本研究では,こうした古筆切についてAMSによる^<14>C年代測定を行い,極札に記された人物の生没年にもとづく年代・書跡史学的知見に基づく年代・AMS^<14>C年代測定によって得られた年代の比較を行った.その結果,いずれの古筆切についても,その^<14>C年代は書跡史学的年代を含む値を示したが,極札による年代とは必ずしも一致していない.すなわち,古筆切には書写年代と全く異なる時代の人物の極札を持つものがあることが,^<14>C年代測定によっても明らかにされたのである.
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