Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、酸素の吸収帯と熱赤外波長帯の情報を組み合わせ、雲頂高度と雲底高度を同時に推定する手法を、人工衛星観測データ(ADEOS-II/GLI)に適用する。また、その解析結果を、航空機やライダ等による現場観測キャンペーンが行われた期間・領域について、詳細に比較検証する。更に、それを踏まえて、最終的には雲頂高度と雲底高度の全球分布を導出する。昨年度までに、衛星データ解析結果が検証可能な領域に対して、詳細な解析を行った。すなわち、人工衛星ADEOS-IIによる観測と同期した現場観測が行われた期間・領域の衛星データを収集し、詳細な検証を行った。すると、本解析手法によって得られた結果は、現地観測と整合性があることが判った。また、本推定手法の適用限界について数値シミュレーションにより感度実験を行ってみたところ、光学的に薄い場合と粒径が小さい場合を除いて、対流圏全体の雲に対して適用可能である事が示されている。更に最終年度となる今年度は、これ迄の研究成果を踏まえて、ADEOS-II/GL1観測データを用いた全球解析を行った。そして、これ迄に得られた一連の結果を、2006年7月のアメリカ気象学会主催の国際放射シンポジウム、並びに2006年9月にスウェーデンで開催されたリモートセンシングの国際学会SPIEで発表を行った。これらの会合では、全球解析を行う場合、雲の種別を考慮した解析が必要であるという事が指摘された。具体的には、上層の氷雲のスクリーニングや雲の不均質性についての取り扱いをより精密にしないと、解析結果に大きな誤差を生じる可能性のあることが判った。現在、これらの指摘を踏まえて、再解析を進めている。本研究によって、酸素の吸収帯を用いた受動型リモートセンシングデータ解析から、雲頂高度と雲底高度の全球分布が得られることが示された。早急に、再解析結果を国際学術雑誌に論文として投稿する予定である。
All 2005 2004
All Journal Article (2 results)
Proceedings of SPIE 5979
Proceedings of SPIE 5571
Pages: 20-29