Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
16年度は、NBS1がDSB修復でのHRにおいて作用する機構の解析をHR測定カセットDRGFPを用いて行った。<NBS1のHRにおける機能ドメインの同定>NBS患者由来繊維芽細胞株を正常NBS1 cDNAにより相補したところ、放射線感受性とHR能が共に回復したことから、ヒト細胞においてもNBS1がHRに重要であることが判った。次に、種々の変異型NBS1 cDNAを作成し、一過的に発現させてHR頻度を測定することでHR修復に重要なNBS1の機能ドメインを検索したところ、N末端のFHA及びBRCTドメインとC末端のMIE11結合ドメインがHRに重要であることが明らかになった。また、ATMによりリン酸化される部位はHRには必須ではないことも判明した。これらの結果から、NBS1はMRE11/RAD50複合体をDSB周辺のクロマチンヘリクルートすることによりHRに機能すること、ATM非依存的に機能できることが示唆された。<他のHR因子との関連性の検討>HR修復に作用する家族性乳癌原因遺伝子産物BRCA1及びBRCA2とNBS1との機能関連を調べるために、BRCA1及びBRCA2のdominant-negative(DN)体を作成した。NBS細胞とその相補細胞は、BRCA1及びBRCA2のDN体によってそれぞれ同程度HR能が抑制されたことから、NBS1とBRCA1及びBRCA2はHR修復において独立して作用することが示唆された。