Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的はゲノム構造の進化の歴史を復元し、進化の機構を解明する手がかりを得ることにある。遺伝子の重複は遺伝子ファミリーの進化の引き金になるので、その歴史を遡ることは重要である。また、遺伝子の重複順番の解明には、個々の遺伝子の機能的変化や機能消失を考慮した分子系統学的な手法を、新たに開発し解析することが必要である。相同な遺伝子の系統関係と、ゲノム上での互いの遺伝子の位置関係から、種間におけるゲノム構造の変異の歴史的順番を数値的最適化の手法によって解明する。分子系統学とゲノム比較を組み合わせることによって、ある遺伝子の進化の引き金となった突然変異が、ゲノム上で何時どのように起こったかを推定することができる。個々の突然変異が定着してきた歴史を解明することは、進化のメカニズムを知るためめ第一歩一となる。このように複数の生物のゲノムを遺伝子レベルで比較すると同時に、生物間の系統と遺伝子ファミリーの進化を同時に解析することを試みた。1、遺伝子とゲノムのマッピング。2、遺伝子ファミリーの系統関係の推定。3、ゲノム構造の変異の歴史を復元。4、進化を引き起こした突然変異の同定。5、突然変異の種類と頻度を推定。6、進化のメカニズムを探る。以上の手順で研究を行った。この中で、特にゲノム構造の変異の歴史の復元は様々な困難に突き当たった。それは進化のメカニズムの内の一つである進化の方向性が分からないことに原因があり、複数の構造が復元の候補として残ってしまうのであった。様々な解析と検討の結果、ゲノム上の変異は、ゲノム配列上の2次元的な距離だけではなく、核内の染色体配置までを含めたゲノムの3次元的な距離にも影響を受けていることが推測された。このことから、ゲノムの3次元的配置が観測できるのなら、共通祖先のゲノム構造の推定の精度を高められる可能性があり、ゲノムの進化のメカニズムの解明に一歩近づくことができる可能性があることが分かった。
All 2006
All Journal Article (1 results)
Journal of Bioinformatics and Computational Biology 4-3, June
Pages: 649-664