Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、西新宿を高度経済成長期・都市計画の象徴として捉えている。初年度は、寄せ場とは異なる路上生活者が集中する場所としての側面に着目し、その支援施策の状況を明らかにした。次年度は、新宿駅周辺地区の詳細な景観調査を行った。分析されたことは、西口と東口の景観上の大きな差異はそれまでの都市計画による違いが天きいこと、西目ではヒューマンスケールでの景観的な配慮がなく、東口ではコマ劇場やMOA街などの景観整備事業が過去にあったにもかかわらず、その設計思想が活かされていないこと、さらに周辺には住宅地が存在しているが土地利用上も建築物の密度や集積状況からも、すなわち総合的に景観上の特徴に欠けていること、いくつかの再開発事業が進行中であるが必ずしも住民の合意がきちんとどれていないケースもあり曖昧な状況にあること、また大規模再開発事業め直近では適切な投資が行われないたあに市街地め質が落ちていること、などが指摘できる。総じて、景観の魅力は非常に乏しい。今年度は、景観調査を続行し、市民(区民)にわかりやすいかたちでそれを示すための作業と、現在の景観が形成されてきた歴史的背景を明らかにした。近世江戸において、玉川上水や神田上水、街道、大名庭園、近郊農村、街道の宿場町として始まった新宿駅周辺地区であるが、近代に入り、一大ターミナルとしての駅、駅前広場事業、幹線道路整備、淀橋浄水場などの都市インフラストラクチャーの整備が進んだ.そうした基盤を踏まえて、東口では戦後のヤミ市、昭和のアンダーグラウンド文化の隆盛、歌舞伎町開発、一方の西口では特定街区をつかった都市開発(世界で1920年代に理想とされだタワー・イン・スペース型)、さらにそうした開発に「取り残された」地区が混成している。今後は、駅周辺地区の回遊性や新たな文化創出を目的として細やかな対応が必要だ。
All 2004
All Journal Article (2 results)
日本建築学会学術講演梗概集 F-1
Pages: 321-322
日本都市計画学会論文集 39・3
Pages: 607-612
10014122152