Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成17年度において、メキシコについては2005年夏に訪問し、首都メキシコシティを中心としてインタビューを行った。グアテマラについては、2005年夏に訪問し、首都グアテマラ市においてインタビューを行った。同時に、グアテマラにおいては、国立統計院が世界銀行と提携して2000年に実施した家計調査の個票データ(Encuesta de Condiciones de Vida : ENCOVI)の分析を進めた。グアテマラにおけるヒアリングの結果は以下の通りである。内戦終結後10年を過ぎ、各地域に優秀な先住民指導者が出現しつつある。彼らがクラインテリズム(Clientelism)よりも能力主義(Meritocracy)を重視した地域運営を行っていけば、各地域の社会経済が発展していく可能性がある。その鍵となるのは、教育を通じての能力形成であるが、教育面の充実は着実に行われていることを確認した。しかし、それが高い経済成長に繋がるかはインタビュー相手の多くは確信がもてないようであった。以上のようなインタビュー結果を、データによって裏付ける作業を進めている。また、メキシコとの比較も進めている。特に、メキシコとの比較が有用なのは、北米自由貿易協定(1994年)のメキシコ農村に与えた影響と同様な影響が、中米ドミニカ共和国との米国の自由貿易協定(DR-CAFTA)によってグアテマラ農村におきるかである。北米自由貿易協定はメキシコのとうもろこし栽培に際立った影響を与えた。商業用農業のための灌漑地においては生産が減退したにも関わらず、貧困層が農業に従事している天水地においてはとうもろこし生産が拡大した。このような効果がDR-CAFTAによってもグアテマラ農村に起こることが予想される。