Project/Area Number |
16720009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
奥田 太郎 南山大学, 人文学部, 講師 (20367725)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | デイヴィッド・ヒューム / 道徳哲学 / 情念 / 情念のシステム / 倫理 / 社交 / 快苦 / フランシス・ハチスン / ディヴィッド・ヒューム / 徳 / 共感 / 動機づけのヒューム主義理論 / マイケル・スミス |
Research Abstract |
今年度は、前年度の研究成果を発展させるべく、ヒュームの情念論を綿密に整理・検討した上で、ヒュームと思想的連関の強いフランシス・ハチスンの道徳感覚論を参照しながら、情念に基づくヒューム道徳哲学のもつ倫理学への理論的含意を明らかにする研究を行い、あわせて、現代の感情・情動研究の文献収集に努めた。以下のポイントについて重点的に取り組んだ。 1.ヒュームが主として取り扱った情念(誇りと卑下、および、愛と憎しみの間接情念と、希望と恐れの直接情念)を詳細に検討し、観念と印象の二重関係に基づく連合原理、共感原理、比較原理、合成原理などによって説明される情念のダイナミズムを明らかにした。その結果、ヒューム情念論における対人的な情念としての間接情念は、個人の内面に閉じ込められた衝動的な情念とは異なる、社交の場へと開かれた情念のあり方・可能性を示している、と結論された。 2.前年度の研究で明らかにされた「情念のシステム」について、それがもつ快苦の伝達回路としての側面に注目し、徳に対する情念と快苦の関係を考察した。この考察を通じて、ヒュームによる幾つかの二分法(道徳的徳/自然的能力、道徳的な善/自然的な善、自然的徳/人為的徳)の内実が理論的に明らかにされた。 3.ヒューム哲学では、情念のシステムを介した是認の構造の中に徳を位置づけることで、第三者を含んだ社交が倫理の成立を規定するということが示されており、このことは情念と倫理の関係を捉えるための思考の補助線として有益である、という見通しが立てられた。 4.以上に関連する内容について、2006年1月7日に南山大学において開催された第47回名古屋哲学会・講演会において「ヒューム道徳哲学における情念の役割」と題する報告を行った。また、目下2006年春頃刊行予定の『アカデミア』第83号などへの投稿に向けて、本年度の研究成果となる論文を執筆中である。
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