エコクリティシズム(環境文学研究)へのサウンドスケープ理論の適用に関する研究
Project/Area Number |
16720072
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Literatures/Literary theories in other countries and areas
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
結城 正美 金沢大学, 外国語教育研究センター, 助教授 (50303699)
|
Project Period (FY) |
2004 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | サウンドスケープ / エコクリティシズム / 環境批評 / 環境文学 / 関係性 / ネイチャーライティング / 文学批評 / 石牟礼道子 |
Research Abstract |
サウンドスケープは「音の風景」と表記されることが多いが、エコクリティシズムとの関係においてはより具体的に「聴覚的つながり」という側面が強調されるべきであろう。 人と環境(自然、世界)との関係をどのようにイメージしていけばよいのか、という問題意識が日米をはじめとする各国の環境文学にみられる。地縁、血縁、そのほかあらゆるコンテクストにおいて人と人の関係、人と土地との関係が希薄になっている現在、ゆかたな<関係性>の世界をイメージするには手がかりが必要である。サウンドスケープはまそういう手がかりのひとつになる。 <聞く・聴く>という行為は一元的ではない。わたしたちは外の世界に耳を澄ますと同時に、内の世界(記憶も含まれる)にも耳を澄ます。そのような二重の聴覚的活動によって感得されるサウンドスケープは、個と外界とのインターフェイスにほかならず、だからそこにおいてつながりが生起する。 日米の環境文学作品を考察しながら、本研究では、サウンドスケープが、現代社会において<つながり>の言語を獲得する重要な契機になることが明らかになった。とくに、『天湖』をはじめとする石牟礼道子の諸作品から『ひかりのあめふるしま屋久島』などの田口ランディの諸作品をサウンドスケープを斬り口に考察すると、戦後から現代にいたる感性と言語の相互関連的変化がみえてくる。 整理すれば、サウンドスケープの言語表象の考察において、(1)<近代>以前の関係性の世界(とくに日本の場合)、(2)関係性にもとづく「感性の文化」(アラン・コルバン)、(3)新たな関係性のことばを求める現代的試み、という問題を検討した。これまでの研究成果は、国際シンポジウムで発表すると同時に(Yuki, Masami Raker."Environmental Criticism Meets Soundcape Scholarship."The Great Basin Symposium on Literature and Environment, University of Nevada, Reno, 13 August 2006.)、本科学研究費補助金によって開設したウェブサイトhttp://fliwww.ge.kanazawa-u.ac.jp/yuki/index.htmlに掲載した。
|
Report
(3 results)
Research Products
(3 results)