Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本年度は,村落の社会経済階層に関する課題に焦点を絞り,平成16年度の研究成果の一部を直接受けた形で,家格秩序の問題を扱った。具体的には,長野県下諏訪町萩倉の明治末期から戦後の高度経済成長期までを対象に,区費等級割の戸別の賦課額を検討し,時期別の賦課基準を推定した上で,賦課額の順位パターンの変遷に表れた家格秩序の変動を明らかにした。区費等級割は,集落内部で各戸がどのように主観的に相互評価されているかを知る,格好の指標でもある。 萩倉では,大正期以降に,区費が賦課されるようになった。区費の等級割は,大正期から昭和初期までは,所得と水田所有に代表される経済的基準に依拠していた。この時期には,水田などの土地が,各同族の総本家や準本家を中心に集積され,経済力に基づく社会秩序が家格の秩序ともさほど矛盾しなかった。戦後期になると,上記の経済的基準に加えて,役職歴なども総合的に勘案された見立割となり,農地改革による水田所有の平準化や,分家層の所得や政治的地位の上昇もあって,家格の序列とも齟齬をきたす部分が増えていった。 この区費等級割の,戦前から戦後への移行における,8つの同族内での賦課額の順位パターンと家格との相関の変動は,(1)ほぼ順からほぼ順(4同族),(2)おおむね順から不規則(3同族),(3)逆から逆(1同族),の3類型に要約し得た。従来の説とは異なり,区費の見立割においても,(2)や(3)のように,家格という旧来の社会秩序が,さほど尊重されないことが生じ得ることが明らかになった。
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