Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
近年、アフリカ地域における呪術的な儀礼実践の再活性化についての議論が盛んになりつつある現状を踏まえて、文献収集を行った。これらの議論では、「モダニティ」論が注目されている。「モダニティ」論では、儀礼研究を中心として、アフリカにおける呪術の再活性化は、単なる伝統への回帰ではなく、近年のグローバリゼーションや国家による支配の中で、社会的・経済的に周縁化された人々が、宗教的表象を操作することで、自らの主体性やコントロールを奪回しようとする動きの反映であるとされている。「モダニティ」論は、Peter Geschereの著作『呪術のモダニティ'Modernity of Witchcraft'』を嚆矢として展開している。この著作は、主として現代のカメルーンの南東部における農耕社会をフィールドとしているので、この研究内容および関連する論文の内容を検討し、都留がこれまで蓄積してきた、近隣地域における狩猟採集民の宗教儀礼についての知見を、これらの近年の議論の文脈の中に組み込むことを検討しているところである。特に、狩猟採集民にとって中核的な信仰である精霊信仰と、農耕民に由来する呪術的な憑依儀礼がどのような関連にあるかを追究し、さらに展開して、農耕社会における精霊信仰の現状とモダニティ論との関連付けを図りたいと考えている。
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