医療保険を手がかりとした、公私協働型行政と民主政の研究
Project/Area Number |
16730012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 匡彦 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (80251437)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 社会保障法 / 行政法 / 憲法 / ドイツ法 / 医療保険 / 民主政 |
Research Abstract |
表記のテーマにつき、ドイツ法との比較研究を進めた。法律・中央政府の定める命令以下の規範を定立する際の手続・当該規範の効果の分析が中心テーマとなるところ、前提として、そのような規範とは目されていない決定-行政行為がその代表となる-と、問題の規範との区別を精密に考察しておく必要が生じ、まず、この部分の成果が平成17年度に公表された。 その上で、平成18年度は、ドイツ法の研究に専念し、医療保険において大きな意味を持っている、いわゆる共同連邦委員会(Gemeinsamer Bundesausschuss)の定立する指針(Richtlinie)の持つ法的問題点について考察を進めた。そこでは、(1)この指針が被保険者・患者に対して持つ法的効力を持つか否か、指針の内容に関する裁判所によるコントロールのあり方、(2)指針を定立する機関である共同連邦委員会は、民主政に照らして正統性を持っていると認められるか、(3)このような指針およびそれを元にした下位規範の中で競争法との関係も含めて様々な裁判権の下で激しく争われた定額設定制度(Festbetragsfestsetzung)の問題の3点について検討を加えた。その結果として、(1)については、連邦憲法裁判所は、法的効力を認めつつも連邦社会裁判所に対しコントロール密度を上げることを要求していること、他方で、(2)については、学説の強い批判にもかかわらず、連邦憲法裁判所は一貫して問題に関する判断を回避し、立法者が法律改正によって答えていること(必ずしも学説が望む方向にではないが)、(3)については、定額設定制度に関して、薬剤供給市場における経済アクターとして医療保険を位置づけた上で市場の「透明性」を要求することで合憲性を認める連邦憲法裁判所と、反カルテル法などの適用対象たり得る企業性を否定することで当該制度を守ろうとするヨーロツパ裁判所が、このような異なる立場に立脚しながらも当該制度の適法性をそれぞれに確認したこと、そこに現物給付原則にたつ医療保険と市場との困難な関係がよく示されていることを確認できた。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)