Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本年度の研究の焦点の1つは,調整型手続と判断型手続の交錯する場面として消費者紛争ADRを選び,そのルール化を通じて手続を規律する可能性と問題性を探ることにあった。ADRのルール化はさまざまな場面で進行しているが,消費者紛争ADRに関しては,ISO(国際標準化機構)が企業外での紛争解決手続の設置・運営・改善に関する規格を検討しており,筆者も作業部会レベルでこれに関わっていることから,諸外国におけるADRと裁判手続との関係,及び,ADRとしての調整型手続と判断型手続との関係についても,調査研究をすることができた。また,国際ワークショップにおける報告や,EUにおけるADRに関する勧告及び指令(ディレクティヴ)のための準備作業を参照したりすることで,さらにその知見を深めることができた。未だ試論であるが,現在得られている印象としては,ADRは,その定義上広範かつ多様であるが,少なくともEU域内及び北米においては,ADRと裁判手続との情報の切断(手続実施者間のコミュニケイションの切断),ADRにおける手続保障の重視,手続の透明性・公正性や手続実施者の中立性・独立性への強いコミットがあり,日本の現状とは大きく異なることが看取される。 もう1つの焦点は,ADR法の施行によって本格的に開始される日本の民間型ADRにおいて,判断型手続,とくに裁判手続との連続性がどのように考えられているかであった。議論の根本は権利・法概念あるいは紛争解決そのものにかかわっており,容易な分析を許さないが,近代的な法概念と手続実施者への権威尊重的な依存の混交する社会関係において,民間型ADRと既存の民事調停等の近似性,判断型手続との連続化は,現在のところ免れないようにみえる。
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