契約内容の調整と契約および契約環境の多様化に関する研究
Project/Area Number |
16730051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
中村 肇 成城大学, 法学部, 助教授 (70324027)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 事情変更 / 団体契約 / 行為基礎論 / 事情変更法理 / 不公正条項 / 賃料減額請求 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に行った契約内容の調整に関する総論的研究に引き続き、ドイツ法や国際取引法に関する動向を検討したほか、契約および契約環境の多様化に関する具体的事案の検討を行い、判例研究や論文として公表した。とりわけ近時の最高裁の裁判例のうち団体契約に関連する問題をいくつか取り扱った。団体法、団体契約に関しては、売買等に典型的に現れる契約理論と対比すると、それぞれを規律している法理に異なる特徴が認められる。筆者が取り上げた判例は、団体への加入の場面と団体からの脱退に関する場面に関係している。いずれも原則として団体形成の自由、脱退の自由を尊重した判断が示されており、結論自体は支持することができる。しかしながら、理論的にこれらの問題を考えた場合、売買等に代表される契約理論と対比し、契約形成の自由、契約からの離脱をいかに考えるべきかという問題との間でさらに検討を要するように考えられる。現在、多様な団体が現れるに至っているほか、取引法と団体法の両方にまたがる類型の契約も増えている。これらの現代型団体契約をいかに規律していくべきか、契約法、法律行為論の視点から検討することが今後の課題であると考えた。 団体からの脱退に関する判例のうち、団体に参加した際に全財産を出資した場合、その脱退に伴って財産の返還を求めることが可能であるかが論じられた事例においては、事後的な事情変更を理由に不当利得返還請求が認められており、本研究との関係からも注目すべき判示がなされている。 そのほかには、オーダーリース契約における賃料減額請求を認めた最高裁の判例を検討した。本判例においては、最高裁が借地借家法32条を修正的に適用するのではなく、単純適用として取り扱う方向が示されているように考えられる。 また、不動産の値下げ販売に関する最高裁の判例を素材に契約履行後の売主の責任について検討を加えた。売主は契約を履行しているため原則として責任を問うことはできないが、事後的に周囲の環境が変わったため買主の当初の期待が裏切られた場面として本問題をとらえ、売主の責任について検討した。最高裁は、かかる場面で説明義務違反を認めたが、ここでは説明義務が契約履行後の再交渉としての機能を果たしていると考えることができ、その意義を確認した。 本研究は、民法上の給付障害法に関係しているが、教科書の中で給付障害法の箇所を執筆したことも本年度の成果としてあげておく。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)