Project/Area Number |
16730150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic policy
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
川越 敏司 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 講師 (80272277)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | リニエンシー制度 / カルテル / 談合 / 独占禁止法 / 実験経済学 / 繰り返しゲーム |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の実験を改良した追加的な実験を行った。昨年度の研究の概略を下に、改良点を述べていく。 昨年度作成した理論モデルは、クールノー寡占モデルを単純化した囚人のジレンマゲームをベースにした2段階ゲームであり、第1段階では囚人のジレンマゲームをプレイし、カルテルを結んで協調していた場合には第2段階でカルテルの事実を密告するか否かの選択を行うものであった。ここで、少なくとも1名が密告すればカルテルの事実は明らかになり、密告したメンバーは罰金の減免を受け、それ以外は規定の罰金を課される。これとは独立に当局の独自調査によってもカルテルは確率的に発見される。このゲームを無限に繰り返すものとされた。 昨年度の実験では、(1)カルテルの規模(2社と7社)と(2)減免を受けられる範囲(密告した最初の1人のみ減免を受けるか密告した全員が減免を受けるか)という2つの変数を操作して4通りの比較を行った。実験結果では、カルテルの規模については7社の場合の方が2社の場合に比べてカルテルが崩壊しやすいことが示されたが、減免を受けられる範囲については統計的に有意な差がみられなかった。 今年度は、さらに(3)カルテルを密告した場合の処置(罰則の減免を受けられるか報奨金をもらうか)について比較した。実験結果は、リニエンシー制度のカルテル摘発効果は報奨金の方が有効であることを示している。 これらの研究成果はAsian Decentralization Conference, International Economic Science Association Meeting, The 9th annual meeting of Experimental Economics in Japan,日本経済学会春季大会などの諸学会で発表され専門から評価を受けた。今年度の研究を取り入れて改良された論文は現在International Institute of Public Financeに投稿中である。さらに、本研究のモデルを、国際的なカルテルに対するリニエンシー制度の有効性を調べ、政府間の政策協調問題にまで発展させて理論研究を行い、RIETIディスカッションペーパーとして論文を公表している。また、実験経済学に関する専門書籍の翻訳監修・解説執筆を行い、本研究のベースとなる実験経済学の普及に貢献した。
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