Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
一昨年度(平成16年度)は、応用一般均衡(以下AGE)モデルの基準データセットに総務省(旧総務庁)発行「平成7年度産業連関表」を用いて、操作が容易な関数型でAGE基本モデル構築した。平成17年度は、平成16年度に作成した単純な関数形によるAGEモデルを拡張し、郵便事業効率化のシミュレーションを行つた。また、平成16年度中にデータ修正などがあつた「平成12年度産業連関表」を基準データセットとして利用可能な状態に整理した。平成18年度は、平成17年度は郵政民営化を取り巻く政治的環境が激変し民営化が確定したことを受け、これまでにわが国で行われた鉄道事業や電気通信事業の民営化事例を調査し、郵便事業の民営化以降、郵便事業がどのように変化していくかについて検討を行った。他事業の民営化事例を参考に、現状の郵便事業民営化の方向性を踏まえた形のシミュレーションを(昨年整備した「平成12年度産業連関表」を基準データセットに用いて)行った。シミュレーション分析の結果、郵便事業民営化により郵便事業の効率性が20%上昇した場合、家計部門における効用は約3117億円分増大することがわかった。また、その時の家計の最終需要における郵便サービス購入総額は約3563億円であり、郵便事業改革により20%の効率化が達成されたケースの効用増大額と同程度の値となった。つまり、本研究のシミュレーション結果は、過疎地域住民の不利益を十分補償するに足りる額が郵便事業改革により発生することを示す結果となった。また、本年度(平成18年度)は研究計画最終年であるため、これまでの研究成果を研究成果として取りまとめた。
All 2007 2006
All Journal Article (2 results)
帝塚山経済・経営論集 第17巻
Pages: 117-134
Tezukayama University Discussion Paper Series No.J14
Pages: 1-21