Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
地方政府が環境税を課す場合に、税率設定に上限がある場合を想定した、分析を行うためのモデル構築を試みた。税率に制約条件があることにより、地方政府が最適な税率を選択できないような状況において、次善の環境税率はどのようになるのかを検討することを検討した。また、この制約が効く場合と効かない場合とで、資源配分の効率性にどのような差が生じるのかを分析した。さらに、地方政府が協調的に行動する場合と競争的に行動する場合とを比較することで、税率設定に関する制約が地方政府の租税競争やその結果としての資源配分の効率性にどのような影響を及ぼすのかを分析した。次に、課税ベースと環境負荷との関連について、検討した。環境負荷を与える財を課税ベースとして選択できない場合に、税収を環境質を向上させるような支出に費やすとして、資源配分の効率性や社会的厚生水準の変化にどのような効果を及ぼすのかを検討した。課税ベースが、環境負荷を生じる財と代替的な関係にある場合、補完的な関係にある場合、なんら関係を有さない場合、の3つのケースを想定した。コレット・ヘイグの命題と類似の結果が得られた。上記のような効率性に関する視点からの分析に加えて、公平性の視点からの分析を試みた。納税義務者を環境負荷を与える原因者とする場合と、環境質改善による受益者にする場合と比較した。明確な結論は得られていないが、資源配分の効率性の観点からは、納税義務者が誰になるのかは資源配分の効率性には無関係である。環境税負担の転嫁の議論へと帰着した。
All 2005
All Journal Article (2 results)
税 4月号
Pages: 172-181
税 7月号
Pages: 140-147