Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 2005: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
昨年度に実施したアンケートを通じた日系企業の移転価格に関する実態調査の集計と分析を行った.調査票は2005年11月に東京証券取引所一部上場企業宛に1648票送付したが,調査内容が各社の機密に属するだけでなく,設問の設定方法にも問題があったせいか回収率は芳しくなかった.そのため,統計データとしては有意とは言えないが,自由回答で貴重な意見を得ることができ本分野の先駆的研究である小林調査以降のデータを補完した点では,移転価格問題を企業サイドから考察する上での参考資料になると考える, まず,アンケート調査に協力頂いた企業の属性を,企業規模,経済活動,国際化進展度の3点から概観すると,規模別な大きな偏りは無かったが,業種では製造業,外国子会社は1〜5社という企業が半数を占めた.次に,国外関連者との取引状況を分析したところ,ロイヤリティーに関して独立企業間と同様との回答が多かったが,移転価格に関しては法令順守の中で10%未満の格差を設けているとした企業が多かった.さらに,移転価格の算定方法に関する分析を行ったところ,独立価格比準法は取引の種類に関係なく一般的に用いられているが,再販売価格基準法は役務提供の対価,原価基準法は有形固定資産の使用料のケースでよく用いられ,これらが適用できない場合は利益分割法を企業サイドは支持していることがわかった.他方,税務当局が利用を促進している事前確認制度に関しては,今回の調査から利用の作業がかなり煩雑であり,これが足かせになっていることがわかった.最後に,移転価格問題の抑制の方策に関しては,各国税務当局間の協力体制が重要であり,税務上のリスク軽減にもつながるとの企業サイドは考えていることが窺えた.なお,上記の実態調査の集計・分析の詳細は,『日系企業の移転価格問題に関する実態調』(大分大学経済論集,58号3巻,2006年)に示している.
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