Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
大学生の議論型ライティング能力について,昨年までに収集したデータを分析して,Society for text and discourse(7月,ミネアポリス)と,教育心理学会(9月,岡山)で発表した。ここまでの検討の結果,次の3点のようなことが明らかになっていた。 (1)大学1年生では,レポートに主張が必要であることは理解していても,その根拠の必要性については必ずしも理解していないこと。(2)その一方で,根拠の書かれていない文章を評価させると,根拠のある文章よりは,その説得力を低く評価をすること。(3)レポートの書き方を習った経験と,学生の議論型ライティングの水準の間に相関は見られないこと。 これらの結果を受けて,本研究のこれからの展望として,次の2点をあげることができる。ひとつは,大学生の「説得力のある文章」に関する認識を明らかにすることであり,大学教育経験が大学生の議論型ライティングの発達に与える影響について,さらに分析することである。 今年度は,これらの新しい問題点についても検討するたあに,大学生38名を対象に追加で実験を行った。実施時期は10月であった。その結果,次のような結果が得られた。ひとつは,昨年までのデータと異なり,根拠が書かれていない文章に対して,その不備を指摘する学生が多かったことである。この結果には2つの解釈の可能性がある。ひとつは,大学初年次の学習経験が,「根拠の必要性」を学生に認識させるという解釈である。もう1つは,単に被験者の所属大学の違いである。どちらの解釈が当てはまるかについては,来年度の前期に改めてデータを取る必要がある。得られた結果のもうひとつは,1年次学生のうち前期に20人以下の少人数授業を受講していた学生では,議論型ライティング水準が高い学生が多かったことである。この結果は大学教育のあり方を考える上で非常に興味深い。
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