Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度の縦断的調査の結果データを処理した上で,最終年度として,縦断的調査の総まとめを行うとともに,併行して実施してきた横断的な調査データの結果と比較検討し十分な考察を行った。成果の一部については,論文に公表し(上原,2006),縦断的調査のまとめを「ナラティブの発達」の視点から,国内の学会で公表した(上原,2007)。今年度,データが加わることにより,次の点が新たに示唆された。第一に,年月の経過によって想起できるイベント数は減る傾向にあるが,環境の変化(学校の学年やクラスが変わる,引越しなど)をきっかけに変化前の出来事の想起量の減り方が大きいこと,第二に,何度も想起し語っているうちに変容するものがあること,第三に,確認できた事例数は少ないが,本来覚えていなかった体験を,体験時よりも時を経た後で見た写真やビデオの影響を受けて報告しているものがあること,である。3ヶ年を通じて得たデータをあわせて分析作業を行いまとめた結果,子どもは2,3歳頃から過去のエピソードを語り始めるが,あくまでその頃の語りは,幼児期初期の「語り」であり,その後の言語能力のみならず,コミュニケーション能力,現実認識,他認知能力の発達を経て,成人のような「ナラティブ」に近づいていくという発達の道筋が示唆された。また,乳幼児健忘という現象は早期からみられ,乳幼児健忘の原因に関わるメカニズムが,もっぱら純粋な「語り」能力(言語能力)にのみ依存するわけではないことが,本年度の調査・分析を通じて,確認することができた。
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