Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は総合的動機づけ診断の完成させ、試行的に実施するとともに、動機づけ促進のための援助指針作成のため、動機づけを促進する指導者の働きかけについて検討を行った。まず、大学生706名を対象に、総合的動機づけ診断の予備項目について回答を求め、因子分析により因子構造の確認を行ったところ、先行研究で見いだされた因子構造に一応の妥協性が確認できたため、その結果をもとに総合的動機づけ診断の項目を決定した。続いて、中学生287名対象に総合的動機づけ診断の各項目と、学習方略の使用・主観的やる気、現在の成績の主観的認知について尋ねた。総合的動機づけ診断について、学年間の得点の比較を行うため、1要因分散分析を行った結果、効力予期・身体的要因について有意な主効果が見られ、効力予期に関しては、1年生の得点が他の学年の得点より高く、また、身体的要因に関しては、1年生が2年生より高い得点を示すことが見いだされた。これらの結果をもとに、総合的動機づけ診断の実施マニュアルを作成し、実際の個別指導場面5ケース(小学生1ケース、中学生3ケース、高校生1ケース)について指導者が診断を実施するという形で検討をおこなった。また、指導者に対しても、先行研究を元に、指導者の動機づけ援助方略の分類を行い、それらの援助方略を測定する質問紙を作成し、回答を求めた。その結果、指導者の興味を促進する援助と、自発性を支援する働きかけが学習者の興味価値に関連していること、応答性のある環境を設定することが効力期待と関連していること、現実に即した場面で学習させることと現実に役立つと伝えることが利用価値と関連しているといった結果が見いだされ、各動機づけ要因を促進する援助指針の方向性が見いだされた。
All 2006
All Journal Article (2 results)
三重大学教育学部研究紀要(教育科学) 57
120000949408
三重大学教育実践総合センター紀要 26