Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本年度は,一般の総合病院の心理面接サービスに応募してきた参加者(クライエント)を対象に,心理検査のフィードバックの「治療的側面」についてデータを収集した。前年度までに大学生集団のデータが得られているので,それらのデータと比較しながら,フィードバック手続きの効果の一般性を検証すると同時に,治療モデルとしての可能性を考察した。 心理検査は一連の研究と同様,MMPI新日本版を用いた。フィードバック実施者も経験のある臨床心理士が行った。フィードバック手続きを評定するために,8つの質問項目からなる質問票と改良短縮版Counselor Rating Form(以下,CRF-S)を用いた。この質問票を用いて,フィードバックで説明を受けた地方の中核病院のメンタルヘルス事業参加者に評価を依頼した。なお、これらのメンタルヘルス事業参加者は,何らかの主訴を訴えているという意味で臨床群とみなせる。 質問票における結果から,臨床群の対象者において高い評価を得ていたことが示された。「説明の理解度」「解釈の妥当性」「自己理解の促進」といったそれぞれの観点で,肯定的な評価が認められ,筆者が行ってきた従来の健常者を対象とした研究と類似の傾向を示していた。これらの結果より,健常群・臨床群において一定程度の高い評価が得られ,本研究のフィードバックプログラムの効果に一般性が確認された。 またCRF-Sのプロフィールからも両群に差がないことが示された。特に「好感の持てる」「誠実な」といったイメージが高かった。これらの結果は,臨床場面において臨床家が専門的援助を行う際に,促進的に作用するであろうと期待でき,本研究のフィードバック手続きがもつ治療的側面の効果が示唆された。
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