Project/Area Number |
16730385
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨士原 紀絵 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (10323130)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | カリキュラム改造 / コア・カリキュラム / 総合学習 / 明石女子師範学校附属小学校 / 教育課程文庫 / 綜合学習 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、兵庫県明石女子師範学校附属小学校(以下、明石附小)の戦後初期のカリキュラムの特徴を分析し、1930年代から戦後初期にかけての明石附小のカリキュラム研究実践の総括を行った。昨年は戦前と1948年とのカリキュラムの関係性を検討してきたが、本年度はそれらと49、50年のコア・カリキュラム実践最初期との関係を検討した。本研究の課題の焦点の一つである学力観についてみると、従来、コア・カリキュラムは学力低下を引き起こすとの批判を受けて衰退したとされてきたものの、明石附小の場合、そもそもコア・カリキュラムに着手した動機は学力形成によるものであり、それは戦前、そして48年の教科カリキュラムでは学力形成に問題があるとの反省の上に立つものであった。この場合の「学力」とは「読み・書き・算」といった所謂基礎的な学力と呼ばれるものと、「社会生活力」とを併せ持つ性格のものであった。戦後の教育課程史上では、学力低下が社会問題として現れた一つの契機として指摘されるコア・カリキュラムであるが、本研究により、そもそもコア・カリキュラムは学力形成を企図して計画されたものであること、その際、「学力」の意味によってカリキュラムの性格が規定されることが明らかになった。 さらに、本年度は戦後初期日本の教育実践の資料源である「教育課程文庫」の調査にも一部着手した。主にコア・カリキュラムの実践記録を収集したが、その中には教科カリキュラムと総合カリキュラムとで生じる学力の違い等が、データ化され詳細に検討されているものが多く含まれていた。これはコア・カリキュラムの導入者が社会から学力低下批判を受ける以前に「学力」を強く自覚化していることの証左でもある。今年度はこれらの資料の総括を行うことができなかった。今後は引き続き、戦後の総合カリキュラムについての調査研究を、「学力」形成論に注目して進めたい。
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