Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
研究計画の3年目にあたる平成18年度は、これまでの国内の事例調査の蓄積から明らかとなってきた先駆的事例について補足調査を行っている。これら一連の調査から、地域コミュニティの経営にかかわるNPOの教育力とは、学習を通して地域のくらしや自治を支援する中間支援としての構造と機能が今後の展開として見出される。今年度はこうした中間支援組織の事例として、イギリスにおけるRural community council(RCC)等の地域再生支援型組織を取り上げ、海外調査に取り組んでいる。RCCは、特に農村地域のパリッシュを中心に、その地域計画策定や住居、就労、金融、交通、消費生活等、住民のくらしにかかわるあらゆる課題を総合的に支援する組織である。また、その地域展開の特性としては、(1)自治体行政、NPO、社会的企業を含む民間企業等とのパートナーシップ、(2)指標を用いながら地域の課題を明らかにすること、(3)コミュニティワーカーとしての専門性、(4)パリッシュカウンシルの議員等を対象とした多様な研修プログラムの実施などが上げられる。日本における市民活動支援という狭い中間支援施設機能とは異なる総合性が特徴であり、また生活支援・ビジネス支援など近年日本の図書館が見せている新たな地域展開や社会教育職員の役割との重なりなども注目される。中間支援機能ついては、本研究から到達した自身の今後の研究課題となる。なお、平成18年度における本研究の成果は、櫻井常矢「イギリスのコミュニティ政策と自立支援」(山田晴義編『コミュニティの自立と経営』ぎょうせい)、あるいは櫻井常矢「公民館の指定管理者制度」(小林真理編著『指定管理者制度』時事通信社)などの論文としてまとめている。前者においては、イギリスの中間支援組織RCCをめぐる政府、地方自治体、住民との関係構造、及び多様な教育プログラム等の人材養成機能を中心に分析している。また後者では、地域自治組織による公民館運営とそれを支援するNPOの実践を取り上げている。当該NPOが有する拠点施設人材の教育・学習という中間支援機能の可能性と課題について指摘している。
All 2006
All Journal Article (2 results) Book (3 results)
季刊「当方工開発研究」 NO. 142
Pages: 52-63
40015171056
月刊社会教育 NO.603
Pages: 10-10
