Project/Area Number |
16740114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松下 恭子 東京理科大学, 理学部第一部, 講師 (50366423)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | X線 / 銀河 / 星間ガス / 銀河団 / X線天文学 / 化学進化 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
銀河団には銀河の質量の数倍の数千万度の高温ガスが存在し、X線を放射している。銀河団ガスに含まれる鉄の量は、銀河団中の銀河の星に含まれている鉄の量に匹敵する。よって、銀河団中の銀河が合成した酸素、鉄など重元素量を知るためには、銀河団ガスの観測が不可欠である。そこで、XMM-Newton衛星で観測された数十の銀河団の銀河団ガスの鉄、珪素の分布を調べた。その結果、鉄と珪素の比がどこでも、太陽組成とほぼ同一になることがわかった。また、銀河団中心部では、系統的に、酸素が鉄や珪素に比べ太陽組成に比べて半分以下となることがわかった。この観測結果は、Ia型超新星爆発が珪素を鉄と同程度合成し、また、II型超新星とIa型超新星がともに、銀河団ガスの重元素に大きく寄与していることと解釈される。この解釈を検証するためには、銀河団全体の酸素の量の測定が不可欠である。酸素は、主に巨星に進化した段階での核融合によって合成され、II型超新星により星間空間に供給される。従って、酸素の総質量は、かつて形成された重質量星の数を反映する。現在の銀河の光度と比較することにより、寿命の短い軽質量星との数の比、すなわち、星の初期質量関数に制限を与えることができる。この酸素の測定が、平成17年夏に打ち上げられた日本の天文衛星すざくにより可能になった。いくつかの銀河団で、酸素が銀河全体でも低い兆候がみえはじめた。 銀河団ガスの重元素の起源を別の観点から調べるために、銀河団ガスに含まれる鉄の質量と銀河の星の質量の比を調べた。その結果、両者は比例することが確認された。この結果は銀河団に含まれる銀河により銀河団ガスの重元素が合成されたことを意味する。 近傍の渦巻き銀河のX線星の種族を調べた。近年、X線で明るい特異な天体が発見されており、太陽の数十倍以上の質量の中間質量ブラックホールではないかと考えられている。このようなブラックホールは恒星の進化では形成されないため、議論を呼んでいる。我々、X線でそれほど明るくない天体でも、中間質量ブラックホールの候補を発見した。
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