弱い相互作用の高次効果のみが寄与するB中間子崩壊過程でのCP非保存の研究
Project/Area Number |
16740136
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石野 宏和 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90323782)
|
Project Period (FY) |
2004 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | CPの破れ / B中間子 / Belle実験 / 小林・益川理論 / Bファクトリー実験 / 強い相互作用 / 弱い相互作用 / シリコン検出器 |
Research Abstract |
素粒子の標準模型の枠内では、CPの破れは小林・益川(KM)理論により説明できるとされている。本研究では高エネルギー加速器研究機構で行われているBelle実験において、B中間子の崩壊過程を詳しく調べることにより、KM理論を検証することを目的とする。 B中間子が二つの荷電π中間子に崩壊する過程は、弱い相互作用の1次の効果(bクォークがuクォークに遷移するツリー過程)と、Wゲージボソンがループをつくる2次の効果(bクォークがdクォークに遷移するペンギン過程、またはFlavor Changing Neutral Current)の両方が寄与すると考えられている。この結果、B中間子と反B中間子が二つの荷電π中間子に崩壊する確率が異なる直接的CPの破れが現れるかもしれない。本研究で直接的CPの破れの大きさを測ったところ、4σの有意性でCPが破れていることがわかり、b→d遷移のFCNCが存在することを世界で初めてつきとめた。中性B中問子の混合過程でのCPの破れを予言する理論はスーパーウィーク理論のようにKM理論以外にも存在したが、直接的CPの破れはKM理論特有の予言である。この研究により、少なくともスーパーウィーク理論は排除することができた。 KM理論は3×3のユニタリー行列を導入し、それは一つの複素位相を含んでいる。したがって、複素平面上で行列要素の関係を示すと三角形になる。このユニタリー三角形の内角と辺の長さを測ることにより、KM理論をさらに詳しく検証することができる。本研究では、上記のB→π^+π^-崩壊に加えてB→ρ^+ρ^-崩壊を用いて、三角形の頂角φ_2を測定した。その結果φ_2=93±12度を得た。他の角度や辺の長さからφ_2=97±15度と予想でき、二つの独立な測定は一致することが確かめられ、KM行列を10%強の精度で検証することができた。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)