磁場中プロッホ電子系におけるアンダーソン局在・量子ホール効果の理論
Project/Area Number |
16740170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics I
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
越野 幹人 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (60361797)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 量子ホール効果 / アンダーソン局在 / グラフェン / Hofstadter蝶 |
Research Abstract |
単層の炭素薄膜であるグラフェンが近年実験的に作成されるようになり、新しい2次元電子系として注目を集めている。グラフェンの電子構造は、伝導帯と価電子帯が接する零ギャップ半導体であり、通常の金属とは大きく異なった電子的な特性を持っている。本年度はこの物質の伝導現象に焦点を当て、以下のような研究実績を上げた。 (i)グラフェンにおける量子ホール効果と局在 磁場中では一般に電子状態はランダウ準位に分離する。グラフェンの電子状態にはブリルアンゾーンにおける独立な「谷」(K点、K'点)による縮退があり、各ランダウ準位は2重に縮退している。このような系でどのように量子ホール効果が観測されるかは興味深い問題である。本研究では、不純物による局在効果とホールプラトーの形成に注目し、不純物のある系でのホール伝導度と局在長を数値的に計算した。ホール伝導度の系の大きさ依存性を解析することで非局在状態が存在するエネルギー(プラトー転移点)を決定した。結果、谷で縮退したランダウ準位において非局在状態は二つのエネルギーに分離し、間に新たなホールプラトーが生ずることを示した。分離のエネルギー幅は中央のランダウレベル(N=0)で最も大きく、プラトーの分離が最もよく観測されうることを示唆している。 (ii)2層グラフェンにおける電気伝導 実験的には2層ないし数層重なった複層グラフェンも実現されている。電子構造は層間の結合によって特に価電子帯と伝導帯が接する零エネルギー付近で複雑な構造を持ち、単層のものとは大きく異なっている。ここでは2層グラフェンに焦点を当て、不純物下における電気伝導を自己無撞着近似を用いて計算した。結果、不純物散乱の弱い領域では、バンド接点付近の微細なバンド構造を反映して伝導度がフェルミエネルギーに対して複雑な振る舞いを示すことを明らかにした。散乱が強くバンドの微細構造が見えなくなる領域においては、伝導度は零エネルギー付近でe^2/hのオーダーを持つ普遍的な値となり、散乱の大きさに依存しなくなることを示した。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)