Project/Area Number |
16740176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Condensed matter physics I
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
米田 安宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30343924)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 強誘電体 / 放射光 / 高エネルギーX線 / PDF解析 / X線トポグラフィ / ドメイン / PDF / SSOG / コヒーレントX線 / ドメイン構造 / チタン酸バリウム / チタン酸ビスマス |
Research Abstract |
強誘電体の電気的特性を支配するのはドメインであることを示すための基礎的な実験と、実際にドメインコントロールして新たな物性を付加することを試みた。強誘電体に関しては、ランダウの現象論を用いた物性の解釈がこれまでの研究の中心であったため、構造に関しては周期的構造を仮定した平均構造のみが注目されてきた。しかし、巨大な誘電率を示すリラクサーの出現によって平均構造では説明できないような電気的特性をドメイン構成によって解釈する試みが行われるようになった。実際に、リラクサー強誘電体をはじめ、複雑なドメイン構成を有する強誘電体結晶のX線回折パターンはシャープなブラッグ反射とそれに付随するブロードな散漫散乱で構成されている。これは強誘電体がリジッドな骨格である平均構造の他に、平均構造からわずかにずれた局所構造をも有していることを示している。この2種類の構造を放射光を用いた2種類の測定手法によって観測した。結晶の骨格に関する部分に関してはX線トポグラフィを用い、平均構造からのずれに関してはPair-distribution function(PDF)解析を用いた。まずX線トポグラフィに関しては、強誘電体のドメイン近傍の結晶性を評価するためにこの手法を用いた。特に典型的な強誘電体であるチタン酸バリウムに関する実験では、これまでの90度ドメインの構成モデルを覆すようなドメイン境界近傍の局所歪みの存在を明らかにし、このドメイン境界の歪みを積極的に利用することによって、平均構造をも変化させるような劇的な変化を強誘電体に引き起こさせることを実証した。このようなドメイン境界に存在する局所歪みによって、平均構造とはことなる構造が不均一に存在することがわかった。このような局所構造の構造解析をPDF解析によって視覚化した。強誘電体では非常に強く散漫散乱が観測されるため、平均構造からの構造のずれの存在は古くから知られている。しかし、その平均構造からのずれを定量的に、構造解析のパラメータとして得るには中性子施設やSPring-8のような大強度高エネルギーX線の使える放射光施設得られたデータでPDF解析を行う必要がある。PDF解析は、これまで中性子を用いた実験が主であったが、微量のサンプルでデータコレクションが可能という点ではX線の方が圧倒的に有利である。そこで、本研究によってX線PDF解析を強誘電体へ適用する実験を先駆的に行った。成果としては、強誘電性半導体混晶、ビスマス層状化合物、リラクサー強誘電体などで平均構造とは異なる局所構造が存在することを示した。また、現在、トポグラフィで局所歪みの存在を実証したチタン酸バリウムを用いた実験を進めており、これが実現すれば、平均構造と局所構造の両面からドメイン形成が誘電体に及ぼす影響を調べることができることになる。
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Report
(3 results)
Research Products
(9 results)