雲過程による大気エアロゾルの変質機構の解明:霧を用いた観測的研究
Project/Area Number |
16740270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Meteorology/Physical oceanography/Hydrology
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松本 潔 神奈川大学, 工学部, 特別助教 (60373049)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 大気エアロゾル / 霧 / 雲 / 靄 / 雲物理 / 数密度粒径分布 / 相対湿度 / 乾性沈着 / 化学組成 |
Research Abstract |
本研究は、エアロゾルと霧の観測を通して、水蒸気凝結成長による大気エアロゾルの変質機構を解明することが目的である。3年間に及ぶ都市部(横浜市)及び山間部(丹沢大山)における観測データの解析から、以下の知見が得られた。 1)これまで大気環境科学の分野においてあまり注目されていなかった粒径10μm以上のエアロゾルが、都市部、山間部いずれにおいても比較的高い濃度で存在している。 2)その主成分は海塩や土壌成分だけでなく硝酸塩を豊富に含んでおり、これが硝酸塩の乾性沈着量に大きな影響を及ぼしている。 3)丹沢大山では、初夏から初秋にかけて霧が高い頻度で発生する。霧水中には硝酸イオンが高い濃度で含まれており、硝酸ガスの取り込みに起因すると考えられる。粒径10μm以上のエアロゾルは霧発生頻度の高い夏季にエアロゾル全体に占める質量比が増大する。特に硝酸塩の含まれる割合が明瞭に増大する。これは霧過程によるエアロゾルの成長によるものと考えられる。 4)都市部では、粒径10μm以上のエアロゾルの質量比に明瞭な季節依存性は確認されなかったが、風速が高いときに増大する傾向が得られた。これは観測点が海に近いため、海塩粒子の発生量が粒径10μm以上のエアロゾルの質量に影響を及ぼしているためと考えられる。 このように、霧の発生とその後の蒸発によるエアロゾルの再生といった一連の霧過程により、エアロゾルが吸湿成長し、その結果粒径10μm以上のエアロゾルの濃度が増大し、これが硝酸塩の沈着量を増大していることが示された。霧がほとんど発生しない都市部においても、海塩粒子濃度が高い大気環境においては、粒径10μm以上のエアロゾルの濃度増大と、硝酸塩沈着量の増大が確認された。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)