Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、分子ひとつひとつを識別可能な走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて単一分子の電子状態および電気伝導を観測し、分子内および界面における電子の振る舞いをアトムレベルで明らかにすることである。ターゲットとする有機分子を選ぶことにより、電気伝導を担う要素を分離し単一分子内の電子の流れを捕らえ制御することが可能になると考えられる。本年度の研究において以下の事項を明らかにすることができた。(1)剛直三脚分子の構造制御および電子状態の解明Au(111)表面に吸着させた剛直三脚分子の吸着構造および局所電子状態をSTMを用いて明らかにした。頭部をBr基で修飾した三脚分子は特徴的な自己組織化単分子膜を形成することが分かった。この構造は、隣り合うS原子の分子間相互作用により安定化され、さらに隣接分子のメチレン基の幾何位置により光学活性構造を誘起することが分かった。また、頭部をフェロセン誘導体で置換した三脚分子は、Br置換体と同一構造の自己組織化単分子膜を形成した。これは、アダマンタン位における分子間相互作用により吸着構造が規定され、その構造が頭部の修飾基によらないためであると考えられる。さらに、走査トンネル分光(STS)法によりBr置換体およびフェロセン置換体の電子状態を明らかにした。Br置換体はフェルミエネルギー近傍にピークを有さないのに対して、フェロセン置換体のスペクトルには分子のHOMOおよびLUMOに帰属される明瞭な共鳴ピークが検出された。トリチオールアダマンタンを骨格とした三脚分子は、吸着構造を保持したまま単一分子の電子状態を任意に制御できる可能性を有することが本結果から示唆された。
All 2007 2006 2004
All Journal Article (6 results)
Journal of the American Chemical Society 129
Pages: 2511-2511
Journal of Physical Chemistry B 110
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Chemical Physics Letters 427
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Journal of Vacuum Society of Japan 49
Pages: 141-141
Journal of Vacuum Society of Japan (印刷中)
Philosophical Transactions of Royal Society of London A 362
Pages: 1663-1171