Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
有機エレクトロニクス材料を指向した新たなπ電子系化合物の分子設計において重要となるのが,π電子系の「分子間の配向の制御」と「電子構造制御」の2点である.本研究では,このうち「分子間の配向の制御」に焦点をあて,ホウ素と窒素からなる6員環のボラジンを鍵構造として用いた新規π共役系の構築を検討した.初年度において,本分子設計に基づいたモデル化合物として,三つのアントラセン骨格と,三つのベンゼン骨格をボラジン骨格への共有結合により交互に集積化したトリアントリル-トリフェニルボラジン1の簡便なone-pot合成法を確立し,1が固体状態で特異なパッキング様式をとることを明らかにした.本年度は,1のアントラセン骨格の10位の官能基化を行い,導入する置換基の光・電気化学特性に及ぼす効果について検討した. 1と同様の合成法により,トリス(10-ブロモアントリル)-トリス(p-置換フェニル)ボラジン2を合成し,これを鍵中間体として,アントラセンの10位にトリイソプロピルシリル基,ジメシチルボリル基,およびジフェニルアミノフェニル基を導入した誘導体を合成した.シリル基およびボリル基をアントラセン骨格に導入した誘導体の光物性について検討した結果,いずれの蛍光スペクトルも,母体のボラジン1に比べて長波長シフトし,蛍光量子収率も1よりさらに高い値を示すことが明らかとなった.また,電気化学測定において,電子受容基であるボリル基を導入した誘導体では,3段階の可逆な一電子還元波が観測され,一方,電子供与基であるジフェニルアミノフェニル基を導入した誘導体では3段階の一電子酸化波が観測された.以上の結果は,アントラセン上の置換基により,本集積化分子の蛍光特性および電子構造のファインチューニングが可能であることを示すものであり,ボラジンを鍵構造とするπ共役骨格の集積化という本分子設計の有用性を示すことができた.
|