Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
遷移金属カルベン錯体は、通常のカルベン種にない多種多様の反応性を示すことから、大きな注目を浴びている化合物である。本研究は、遷移金属カルベン種(錯体)の関与する新しい有機合成反応について探索するものである。私たちは、遷移金属カルベン錯体の新規発生法の鍵前駆体としてイミドイル金属種に注目した。特に、パラジウムカルベン錯体を与える前駆体:イミドイルパラジウム種の反応について詳細に研究を進めた。アリールパラジウム種へのイソニトリルの挿入を経由するイミドイルパラジウム種の発生を種々検討していくうちに、非常に興味深い2量化カップリング反応を見い出した。すなわち、0価パラジウム錯体存在下、ヨウ化アリール及びイソニトリルをで反応させると、ヨウ化アリール及びイソニトリルが2分子ずつ結合したα-ジイミンが低収率ながら得られた。今回、本反応の機構解明を目指し、まずイミドイルパラジウム種の単離を行なった。Pd_2(dba)_3・CHCl_3、ヨウ化アリールとイソシアニド(3等量)を26℃にて反応させると、イソシアニド配位子を有するイミドイルパラジウム錯体が良好な収率で得られた。単離したイミドイルパラジウム錯体のトルエン溶液を、100℃にて1時間加熱するだけで、α-ジイミンが32〜43%の収率で得られることがわかった。原料錯体のイミドイル配位子同士が2量化することによってα-ジイミンが生成したと考えられる。また、異なる置換基を有する2種のイミドイルパラジウム錯体を用いて、クロスオーバー実験を行なうことにより、イミドイル配位子の2量化は分子間反応で進行することがわかった。
All 2006 2005
All Journal Article (3 results)
J.Fluorine Chem. (印刷中)
Lett.Org.Chem. 第2巻第1号
Pages: 5-14
J.Fluorine Chem. 第126巻第2号
Pages: 165-171