Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本研究ではこれまでに,N,W硫化物ナノクラスターを調製する際にCyDTAなどのキレート剤を用いると,NiとWからなる複合硫化物ナノクラスターが選択的に形成し,軽油中に含まれる難脱硫性化合物である4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(4,6-DMDBT)の水素化脱硫(HDS)反応に対して著しく高い活性が得られることを見出している.昨年度は,このキレート剤の効果を明らかにするにあたって,キレート剤を用いないで調製した硫化物ナノクラスター上での4,6-DMDBTのHDS反応経路を詳細に調べ,これまでに知られていなかった反応経路を見出した.本年度はCyDTAの役割を検討した. まず,反応の全体像を明らかにするため,4,6-DMDBTの転化率を広い範囲で変えて反応を行い,生成物収率と選択性の変化を調べた.その結果,本反応では転化率に依存して生成物が異なり,低転化率域(5〜10%)ではテトラヒドロジメチルジベンゾチオフェン(THDMDBT),ヘキサヒドロジメチルジベンゾチオフェン(HHDMDBT)とジメチルビフェニル(DMBPh),ジメチルシクロヘキシルベンゼン(DMCHB)が生成したのに対して,転化率が20〜80%の領域ではさらにジメチルビシクロヘキシル(DMBCH)も生成することが明らかとなった.数値解析法によって反応経路を検討した結果,CyDTAを用いて調製したNiW触媒上のHDS反応においても4,6-DMDBTとHHDMDBTのC-S結合の開裂と芳香環の水素化が同時に起こる経路,および4,6-DMDBTからHHDMDBTが直接生成する経路が存在することが明らかとなった.さらに,各経路の速度定数を,CyDTAを用いずに調製した触媒上のものと比較すると,CyDTAを用いて調製した触媒上では直接脱硫経路の速度定数が約2倍大きいことが明らかとなった.このことから,NiとWからなる複合硫化物ナノクラスターは4,6-DMDBTの芳香環を水素化することなくC-S結合を選択的に開裂する反応を促進すると推定された.
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