Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Research Abstract |
昨年度,酸化物高温超伝導(HTS)薄膜とMgB_2薄膜の系における異種接合において,特徴的なHTSとMgB_2の異種ギャップ構造の兆候を観測したが,さらに特性を向上させるためには,下部電極としてのHTS薄膜の表面平滑性が非常に重要であることが分かった.そこで,これまでレーザー蒸着法を用いてHTS成膜を行ってきたが,より表面平滑性の向上が見込まれる有機金属分解(MOD)法を用いて薄膜作製を行った.まずHTSよりも構成元素数が少なく,絶縁層・バッファー層として利用可能なSrTiO_3(STO)薄膜をMgO基板上に作製した.その結果,焼成温度までの昇温過程が非常に重要であり,核結晶を生成する500℃近傍の低温度領域を急速に通過する方がSTOの結晶性が優れていることがわかった.つまり,40nmの膜厚試料に対して,一定速度(20℃/min)で昇温するよりも急速加熱処理(約800℃/min)の方が,X線回折結果で半値幅〜2°,原子間力顕微鏡結果で表面平坦性2-3nmの非常に良質なSTO薄膜が得られた.次に,HTS成膜としてBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+x>(BSCCO)薄膜をMOD法で作製した.ここで接合時のマイクロ波応答評価を考慮して誘電率の低いMgO基板を用いるが.MgO基板とBSCCO薄膜とでは格子整合性が非常に悪いため,先に作製したSTOをバッファー層とした.まずBSCCO/MgO基板とBSCCO/STO基板で最適化条件を求めたが,BSCCO/STO/MgO基板では両基板で求めた条件の中間に最適条件が存在した.STOバッファー上にBSCCO薄膜を作製したおかげで,BSCCOの半値幅もバッファー程度のものができ,面内配向においてもエピタキシャル成長を反映したcube-on-cubeであることが確認された.現在,このBSCCO薄膜を下部電極として,MgB_2薄膜との異種接合化を行っている.
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