Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究では,非局所結晶塑性を考慮した均質化理論の構築と有限要素離散化を行い,多結晶金属の粒径依存性と非局所結晶塑性の関係を調べた.このためまず,単結晶金属のための非局所結晶塑性を考慮した均質化理論を構築するとともに,効率的な有限要素解析のための離散化を行った.さらに,多結晶金属の問題に理論を拡張し,結晶粒界での付加的な境界条件が多結晶金属の粒径依存性に及ぼす影響を調べた.今年度の研究成果は次のようにまとめられる. 2次元FCC多結晶モデルの有限要素解析では,まず始めに結晶粒界での付加的な境界条件として2つの極端な場合(すべり自由条件とすべり拘束条件)を考えた.この結果として,すべり自由条件では粒界に幾何学的に必要な転位は堆積せず,巨視的特性に寸法依存性はほとんど現れなかった.これに対して,すべり拘束条件では粒界に幾何学的に必要な転位の堆積が生じ,巨視的特性に顕著な寸法依存性が現れた.しかしながら,すべり拘束条件での寸法依存性は初期降伏後の巨視的なひずみ硬化に影響するものの,ホールペッチの関係が示すような初期降伏応力の粒径依存性を再現することはできなかった.そこで本研究では,新たにGurtin-Needleman (2005)によって提案されたDefect-free条件を用いて解析を行ったところ,この条件は変形初期の段階における粒界近傍への幾何学的に必要な転位の堆積を予測し,この結果として多結晶特性にはわずかではあるが初期降伏応力の粒径依存性が現れた. 以上の結果より,多結晶金属の粒径依存性を調べる上で,結晶粒界での付加的な境界条件の及ぼす影響をより正確にモデリングすることの重要性が示された.今回用いた非局所結晶塑性理論における付加的な境界条件の検討は現在でも活発な議論が続けられており,本研究で構築されたマルチスケール解析手法は上述のような研究を数値実験として検証するために非常に有用である.
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