Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Research Abstract |
鉄筋コンクリート(以下RC)構造物の地震時挙動は,それを支持する基礎構造と周辺地盤の挙動にも大きく影響されることから,特に強い地震動に対する耐震性能の照査に対しては,基礎と地盤を含めた構造物全体系をモデル化して,工学的基盤から基盤波形を入力する地震応答解析を適用するケースも現れ始めた。従来のように地上構造物と基礎構造物を切り離して照査する体系とは異なり,特に地盤-基礎系の応答算定精度が照査結果に如実に反映されると考えられるため,適用するモデルや境界条件などのモデル化方法の影響も含めた解析手法のさらなる高精度化および応答算定精度の絶対的な評価と,このような高度な解析手法を用いた耐震設計体系の整備が今後の緊急課題である。本研究は,基礎(特に杭基礎)と地盤を含めた構造物全体系の高精度な耐震性能照査手法の開発,そしてそれを適用したより合理的・経済的な構造系の耐震設計手法の構築を目的としている。 平成17年度は既に実施したRC杭の載荷実験結果を利用した解析的検討を行った。その際,実構造物への適用を念頭に置き,3次元立体要素を用いた詳細解析と共に,ファイバーモデルに基づく3次元梁要素を用いた自由度低減解析を並行して実施し,地震時における杭体の耐力・変形性状について検討を行った。その結果,3次元立体要素を用いたモデルで精度のよい結果が得られると同時に,解析自由度を低減した梁要素によるモデルによっても,いくつかの解析条件上の配慮を行うことによって,実用に耐える程度の解析精度が得られることが明らかとなった。 さらに,並行してせん断土槽を用いたRC杭基礎の振動実験結果を利用した解析を行った。実験に用いた地盤材料や杭体寸法は,前述した実験とほぼ同程度ではあるが,地震時における地盤変形が実験でも再現されており,杭基礎と地盤の両方の動的非線形性が反映された実験結果となっている。この結果を用いた動的応答解析を行い,地盤および杭基礎の動的応答特性について検討を行った。その結果,杭基礎や地盤の応答に現れる瞬間的な加速度性状を再現するためには,従来用いられていた単純なせん断双曲線モデルだけでは不十分であり,せん断特性に及ぼす拘束圧依存性や地盤の体積非線形性(ダイレイタンシー)を考慮することによって,杭基礎-地盤系の応答性状を精度よく再現できることが明らかとなった。 以上より,本解析手法を耐震性能照査手法として用いることによって,構造物-杭基礎-地盤全体系の耐震性状を精度よく追跡可能であり,今後,実構造物レベルでの適用事例を重ねていくことによって,より高い信頼性をもって耐震安全性が照査された構造物の構築へとつながるものと考えられる。
|