Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
雨天時に合流式下水道から放流される未処理下水(CSO)は,下水に由来する様々な健康リスク物質(病原微生物等)を含有しているため,放流水域における水利用では重大なリスク要因となる。本研究では,阿武隈川流域をフィールドとして, 1.雨天時の未処理下水放流水からの健康リスク物質の検出と定量 2.合流式下水道システムのモデル化・雨天時の未処理下水の放流量と水質の予測 3.阿武隈川の流出解析と河川水質のモデル化・水利用にともなう健康リスク評価 について研究を行う。 本年度は,前年度の室内実験の結果から,河川水中における病原ウイルスの挙動モデルを開発した。このモデルでは,河川を流下するウイルスの挙動を移流・拡散方程式で表現し,流下中のウイルスが日光(紫外線)に曝されることで不活化する過程を組み込んだ。ウイルスの不活化率は,紫外線照射量の積算値を独立変数とする指数関数で表現した。また,河川水中でのウイルスの不活化に関する主要な因子として,河川の水温と(紫外線を遮断する)懸濁物質の濃度をそれぞれモデルに反映させた。 開発したモデルを用いて,阿武隈川中流域の郡山市におけるCSO発生を想定し,阿武隈川でのウイルスの挙動に関するシミュレーションを行った。阿武隈川は,郡山市から約40km下流の福島市において水道水源として利用されている。この福島市地点でのウイルス濃度を計算すると,紫外線照射が比較的弱い冬季でも,紫外線によるウイルスの不活化を全く考慮しないケースと比較して,河川水中のウイルス濃度が半減した。紫外線照射が強い夏季では,河川を流下する間にほとんどのウイルスが不活化されるため,福島市地点のウイルス濃度には明確な上昇が見られなかった。以上より,CSOが発生する季節によって下流での水利用にともなうリスクが大きく異なることが分かった。
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