Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
発展途上国では1970〜80年代に世界銀行の大規模な融資のもと各国でサイツ&サービス事業が実施された。本研究では、その事業の一部として建設されたコアハウジング住宅地を研究対象としている。コアハウジングとは、電気や水道といった最小限の基盤整備を施した小規模な敷地を供給し、住宅については人々の自助努力に委ねる事業である。コアハウジングの事後展開、計画住宅地の居住変容過程について、居住者と供給サイド、居住者支援組織の果たした役割を考察し、コミュニティや居住者主体による住宅づくりのあり方に関する指針を得ることが大きな目的である。初年度に引き続き文献調査をさらに発展させ、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどコアハウジング事業が行われた国や地域での事業および住宅地変遷の把握に努めた。とくにコアハウジング事業がその一部として含まれたサイツ&サービス事業については、中央政府と地方自治体間の連携がうまくいかず、建設工事の遅延や計画変更をもたらし、結果として失敗に終わったと評価されているものが少なくない。そうしたなか、成功例としては民間非営利団体に委託された事業などがみられ、計画や建設の監督と居住者支援の一貫性が評価を2分した大きな要因であると考えられる。また、世界銀行がシェルタープログラムに融資を開始する直前に実施されたローコストハウジングの国際コンペは、発展途上国での低所得者住宅のあり方について大きな議論を呼び、これらがその後の住宅供給に及ぼした影響などについても、さらに検討していきたい。