Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
CaB6をはじめとする二価の金属六ホウ化物は,理論的には半導体であるが,焼結法などで作製した試料の電気伝導率は金属的な振る舞いを示している.そのような不一致の原因の一つとして,昨年度,本研究ではホウ素の欠損により電子キャリアが生成されているという計算結果を得た. 1.添加元素の検討 電子状態計算によると,金属六ホウ化物中では金属原子はホウ素が作るフレームに電子を供給している.p型材料を実現するためには一価の原子で置換すればよい.しかし,Naによる置換を試みたが現在のところp型は得られていない.作製プロセスの再検討が必要と考えられる. 2.欠損とキャリア濃度の関係 放射光を用いて測定したX線回折プロファイルをRietveld法により解析し,結晶構造に関するデータを得た.試料としては,CaB6,SrB6,BaB6である.ホウ素サイトの占有率はCaB6:95.0%,SrB6:95.5%,BaB6:93.7%と,いずれの試料においてもホウ素が数%欠損していることがわかった.測定に用いた試料の室温における電気伝導率はSrB6<CaB6<BaB6の順であり,欠損が大きくなるに従って電気伝導率,すなわちキャリア濃度が大きくなっているように思われる.熱電特性の向上には,キャリア濃度の制御による電気的特性の調整と熱伝導率の低減が必要である.幸いにも,本研究で作製したCaB6,SrB6は電気的特性が最も良好なキャリア濃度に近い.これらを用いて(Ca,Sr)B6混晶体を作製し,熱伝導率の低減を試みた.その結果,Ca:Sr=50:50付近で熱伝導率が最も低くなり,CaB6,SrB6に比べておよそ1/2の値となった.また電気的特性も大きくは低下せず,材料の熱電特性を表す無次元性能指数ZTは,1073Kで約0.35となり,n型ホウ化物では最高の値が得られた.
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