Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
前年度までに設計したマイクロサテライトマーカーを使用して,特にクチキゴキブリ属の集団遺伝学的解析を詳細に行った。5月に屋久島(エサキクチキゴキブリ),9月に西表島(タイワンクチキゴキブリ)に赴き,多数の家族を採集し,家族構造を解析した上で,個体群内や家族間および家族内の個体間血縁度を求めた。まず,家族間の地理的距離と成虫問の血縁度の関係について回帰分析を行った結果,相関はほとんど見られなかった。雌雄成虫が共に採集された家族の成虫同士の血縁度は,全成虫個体間の平均血縁度と有意な差が見られなかった。次に,家族内の血縁関係を単数ブルードと複数ブルードに分けて解析した。単数ブルードの全ての家族で,成虫と若虫間の血縁度に雌雄成虫で有意な違いは見られなかった。一方,複数ブルード家族では,成虫と若虫間の血縁度に雌雄で有意な違いがある場合が見られた。ただしその場合でも,ブルード間とブルード内における若虫間の血縁度には有意な差がなかった。以上の結果から,本属の成虫は,少なくとも設定したコドラート程度の移動は容易である可能性が高い。また,成虫や若虫は,家族形成後に移動することはほとんどなく,長期的な一夫一妻制の家族構造が維持されていることが強く示唆された。一方で,家族形成後に雌雄成虫で移動の相違がある可能性も示唆された。複数ブルードの成立要因の詳細は不明だが,同じ雌雄成虫が2回以上の繁殖を比較的頻繁に行っている可能性も考えられる。食材性かつ亜社会性の昆虫類で,マイクロサテライトDNAマーカーを使用して,家族内の血縁度を測定した研究例はこれまでないので,本研究の結果は非常に重要な知見である。なお研究成果の一部は,第15回国際社会性昆虫学会(ワシントンD.C.)にて発表すると同時に,2つの国際学術雑誌および和文雑誌に投稿し,受理されている。
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