精子競争関連形質の量的遺伝学〜交尾器進化のパラドックス解決に向けて〜
Project/Area Number |
16770017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Hokkaido University (2005-2006) Rissho University (2004) |
Principal Investigator |
上村 佳孝 北海道大学, 大学院農学研究院, 助手 (50366952)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 昆虫類 / ハサミムシ類 / 繁殖生態学 / 交尾器の進化 / 性選択 / 精子競争 / 量的遺伝学 / 放射線遺伝学 / 放射線育種学 |
Research Abstract |
動物の交尾器形態は他の形質と比べて種間変異が大きく,速く進化することが示唆されている.しかし,このような進化を可能とする,遺伝的基盤には不明な点が多い.本研究では,交尾器形態の遺伝的基盤を皿的遺伝学の手法で明らかにし(小進化過程),また交尾器の構成要素の数やその左右性といった基本構造の進化についても研究を実施した(大進化過程).今年度は,主に下に挙げる2つの新たな課題について知見を得るとともに,前年度までに得られた成果の誌上発表をおこなった.Journal of Morphology誌に発表された論文については,Nature誌(vo1. X14:689-692)に紹介されている. 体長に匹敵するほどに長い雄交尾器をもつコバネハサミムシについて,雄交尾器長の量的遺伝学的解析をおこなった.半兄弟作成法によって検討した結果,狭義の遺伝率は0.45となり(P<0.0054)となり,この値は体サイズ(前胸背板幅を指標)のそれに匹敵した.交尾器長は比較的小さい分散(負の相対成長)にもかかわらず,選択に反応できる遺伝的変異を有していることを示している.この現象に対する説明としては,弱い安定化選択または相関した形質に対する逆方向選択圧による制約が挙げられる.どちらが原因であるかは決定に至らなかったが,交尾器長と発生時間の問に正の相関が認められるため,時間的制約が働いている可能性がある.交尾器進化の理論に発生上の制約という新たな観点の重要性を示唆する結果となった. また,ショウジョウバエ属における交尾器形態の進化に関する研究を開始し,新たな知見を得た.フタクシショウジョウバエ種複合体では,近縁種における精子移送器官であるaedcagusが退化し,basal processが,メスの生殖口付近の体壁を突き破ることによって,精子を渡すことを発見した.
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)