Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
昨年、エンドソームの肥大化や細胞膜レセプターの分解阻害を誘導するHrsの過剰発現がSTAMの共発現により解消される一方、AMSHによる同様の効果が見られないことを報告した。STAMはそのCoiled-coilドメインを介してHrsと、SH3ドメインを介してAMSHと結合することから、STAMのドメイン欠損変異体(それぞれSTAM-DCC、STAM-DSH3)それぞれをHrsと共発現したところ、共にエンドソームの肥大化を抑制することはできなかった。このとき、STAM-DCCは細胞質中に拡散していたが、STAM-DSH3は肥大化エンドソーム上でHrsと共存していた。この結果は、Hrs-STAM共発現による肥大化エンドソームの解消にAMSHが必要であることを示唆している。さらにこれを検証するため、Hrs-STAM共発現293T細胞にAMSHの脱ユビキチン化活性欠損点変異体AMSH-D348Aを導入したところ、肥大化エンドソームが観察され、それには3者が共存していた。また、この肥大化エンドソームはクラスリンや後期エンドソーム蛋白質であるLAMP3が局在することから、マルチベシキュラボディ(MVB)の形成が阻害されたものと考えられた。そこで、MVB形成に関与するESCRT-I複合体の構成成分であるTsg101のHrs過剰発現293T及びHeLa細胞での局在を観察したところ、本来HrsによりMVBにリクルートされるべきTsg101は肥大化エンドソームには全く存在しなかった。以上のことから、MVB形成に必須であるESCRT複合体のエンドソームへのリクルートにはHrsのみならずAMSHの脱ユビキチン化活性が関与していることが示唆された。