Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
モリブドプテリンコファクター(MoCo)を活性中心とするモリブデン酵素は種々の生物に存在する。補酵素である(MoCo)生合成過程では、15種類以上の遺伝子が関与し、これらの遺伝子がすべて正常に機能して活性型モリブデン酵素は生合成される。本研究課題では、これらコファクター合成に必要な遺伝子のうち、モリブデンコファクタースルフラーゼ(MCS)に着目し、解析した。MCSはMoCoへの硫黄転移反応を触媒して、モリブデン酵素を活性化する酵素と考えられている。動物や植物のモリブデン酵素、XOR(キサンチン酸化還元酵素)及びAO(アルデヒド酸化酵素)の活性の発現にはMCSが必須である。ヒトのMCS欠損症例は申請者らが初めて報告した。本研究課題期間中にMCS大腸菌内発現系の構築を目指し、全長cDNAを用いて発現させた。大量に発現させた組換え体酵素は、不溶性の封入体画分に回収され不活性であると考えられた。次にMCS活性を検討する系として、XORとMCSを大腸菌内で供発現させて調べた。好気的な培養条件ではXORの有意な活性化は見られなかったが、微好気的な培養条件ではXORの活性上昇が見られた。このときにXORに正常なMoCoが含まれるかどうかを解析するために、XORの結晶構造解析を行った。さらにXORのMoCo結合部位近傍のアミノ酸残基をAOに近づける形で変えた変異型酵素を作製し,野生型酵素と比較した。野生型酵素ではMoCoを持たない酵素として、変異型酵素ではMoCoを保持した酵素として、それぞれ立体構造を決定できた。以上の成果の一部は学術誌に投稿し、掲載が決定している。XORとAOのMoCo近傍の構造は近似しており、モリブデン酵素において活性型酵素が合成される過程では、MCSとモリブデン酵素間での相互認識機構が重要であることを示唆している。今後はこの視点からも研究を発展させていきたい。
All 2007 2005
All Journal Article (3 results)
The Journal of Biochemistry (in press)
The Journal of Biologcal Chemistry vol.280 no.26
Pages: 24888-24894