Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
真核生物の線状染色体の末端に存在する構造体であるテロメアのクロマチン状態の維持機構を解明することを目的として研究を行った。テロメア領域は特殊な高次構造を取っており、普段転写が不活性であるヘテロクロマチンである。これまでの研究より、我々はテロメアヘテロクロマチンが少なくともTaz1(テロメアリピートDNAに直接結合するタンパク質)およびRNAi機構がredundantに機能することによって確立され維持されることを明らかにした。しかし、Taz1およびRNAi以外にもヘテロクロマチン確立因子が存在していることが示唆されたが、その実態は明らかではなかった。そこで、未知なるテロメアヘテロクロマチン確立因子を検索するため、Taz1およびRNAiの両方が欠損した株におけるテロメア領域に栄養マーカー遺伝子を挿入し、さらに遺伝子変異を誘起することにより、その栄養マーカー遺伝子の転写が完全にオンになるもの(つまり、テロメアヘテロクロマチンが完全に崩壊するもの)を選別した。現在、それらの変異株の原因遺伝子について解析中である。一方、テロメア結合タンパク質Rap1の体細胞分裂細胞周期における制御機構}を調べるため、まず初めにRap1タンパク質を野生株において過剰発現させたところ、細胞周期進行の著しい遅延が観察されたことから、Rap1が細胞周期制御因子のターゲットとなっている可能性が示唆された。そこで、in vitro kinase assayを行ったところ、Rap1はSer(セリン)213、Thr(スレオニン)378、Ser422、Ser513においてCdc2によってリン酸化される可能性が示唆された。Ser213をAla(アラニン)に置換したRap1タンパク質や、Ser513をGlu(グルタミン酸)に置換したRap1タンパク質を過剰発現させると、テロメアDNA長に異常が観察された。
All 2007 2005
All Journal Article (3 results)
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