Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
アーバスキュラー菌根菌(AM菌)の菌糸は宿主植物の根の近傍に達すると,先端が細かく分岐する形態分化(hyphal branching)を起こす。その後,付着器を形成して根の表面に張り付き,根の内部に侵入する。AM菌は皮層細胞において栄養交換器官である樹枝状体を形成する。その後,根外に外生菌糸を伸ばし,次世代の胞子を形成する。本研究では樹枝状体および胞子形成物質の探索・同定を目指した。樹枝状体は菌糸が極めて高度に分岐した構造物であるので,研究代表者が昨年度ミヤコグサの根分泌物より単離した菌糸分岐誘導物質であるストリゴラクトンが根内において樹枝状体形成因子として機能している可能性が高いと考えられた。よって,このストリゴラクトンに樹枝状体形成を誘導する活性があるかどうかについて調べた。研究代表者はすでにAM菌Gigaspora margaritaの発芽胞子を用いるペーパーディスク法による菌糸分岐アッセイを確立している。このアッセイ系ではストリゴラクトン処理により顕著な菌糸分岐は見られるものの,樹枝状体のような極めて高度な菌糸分岐は起こらない。よって,培養時のガス組成や培地組成について検討し,菌糸分岐に対する影響を調べた。脱酸素剤を用いて,嫌気条件下で培養したところ,菌糸の生育は完全に停止したので,菌糸の生育には酸素が必須であることが分かった。根内では菌糸侵入によるストレスによりエチレンが発生していると考えられたので,次に,ストリゴラクトン処理時に同時にエテホンを混ぜてエチレンガスを発生させたところ,これまでにない高度な菌糸分岐が見られた。また,このときエテホン分解に伴う培地の酸性化を防ぐため,MESバッファーを用いたところ,菌糸分岐が安定して見られることも分かった。この分岐菌糸が樹枝状体に分化しているのかどうかマーカー遺伝子の発現解析などにより検討する必要がある。
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