Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
実験の安定性付与技術として、傾斜密度の付与ではプレスの行程に応じて伸縮する治具を開発し、そのまま成形してリブ・フランジの密度傾斜を安定させる方法を得た。また、側面が開閉できる二重のホーミングボックスを開発し、外枠で配向マット形成、内枠でプレス挿入することでプレス操作を安定的に行えるようにした。これまでの検討を基に物性試験用の材料を作成して性能を評価した。原料に43Lx5Wx2Tmm、長径比28倍のスギ伐根チップを用いた。接着剤にpMDIを用い、チップ全乾重量比10%を添加した。材料の比重構成(全乾)はMORで30MPaを得ることを目標にフランジで0.80、その時に想定されるせん断強度からリブ0.60、平均0.70とした。チップは800x240(80x3)mmの型枠に目幅10mm、FFD25mmで配向散布した。密度傾斜を散布のみで得たもの、アルミ治具を用いたもの及び平均密度で成型したものを作成し、20℃・65%RH下で十分に養生した後に試験に供した。結果の概要を以下に示す。・治具を用いることで安定した密度傾斜・性能が得られた。・不等ホーミングにより同じ材料密度でMOEを30-40%向上できた。一方、MORは10%程度の向上に止まった。・3連成型法でエッジ部分の比重は気乾で0.55程度まで低くなった。その結果、それを曲げ引張側とした場合に、各条件で比強度が中央部に比べ20%程度低下した。・10日の常温水浸せきによる寸法変化は、梁長方向0.5%、梁せい方向1.2%、梁横方向15%程度で、特に構造用で重要な梁長および梁せい方向の寸法変化が十分抑制できることが明らかになった。現在、本研究で明らかになった1)スギ廃伐根の基礎的性質、2)不等ホーミングによる傾斜密度材料に関して学術雑誌へ投稿すべく準備を進めている。