Budget Amount *help |
¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
河川水質環境の戦略的保全計画作成を支援するため,本研究では最適化理論と地理情報システム(GIS)を用いて河川水質に影響する物理・化学的要因,人為的制約,管理目的を整理し,最適化問題の定式化を行った.すなわち,河川への負荷排出源に対し,許容最大COD(化学的酸素要求量)負荷量を配分するための最適化モデルを,多目的線形計画法を用いて開発した.これまで事業場や面源(水田,畑地,市街地,ゴルフ場)を負荷発生源とする工業系,農業系,市街地系COD負荷を考慮し,その排水濃度を最適化モデルにおける決定変数としてきた.平成18年度においては新たに生活系排水による負荷の制御も考慮できるように最適化モデルを拡張した.これまでモデルの適用対象地としてきた滋賀県野洲川下流区間18.6kmに対応する流域において,合併処理浄化槽,単独処理浄化槽等の位置,処理人口といったデータを収集した.取得データはGIS上で整理し,各浄化槽の数が多いことを考慮して面源と同様,小流域単位に取りまとめた.面源排水は,野洲川解析区間における実流量の月データを用いて水収支計算を行い,小流域ごとに推定した.河川流量,COD/DO(溶存酸素)輸送式中の自浄係数といったパラメータの不確実性を考慮するため,ロバスト最適化の枠組みを用いてそれらの影響をコントロールした非劣解(パレート最適解)が得られるようにした.有限要素法により離散化したCOD/DO輸送方程式や河川水質環境基準,排水基準を中心とする多目的線形計画モデルを定式化した.モデルを野洲川下流部に適用し,求まった非劣解を用いて現在の水質管理状況を診断評価した.最適化計算により導かれた非劣解は両浄化槽からの負荷削減を推すものが中心となり,河川診断区間への負荷の総量を減少させなくても,負荷の再配分によって河川水質が良好になるとの結果が得られた.
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