Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ウサギでジーンターゲティングを行うためには、ウサギで多分化能(特に生殖細胞への分化能)を有した細胞株を樹立する方法が効果的だと考えられる。そこで、私はこれまでにウサギES細胞の樹立を精力的に取り組んできた。ウサギ胚盤胞期胚をマウスフィーダー細胞上で培養したところ、アルカリフォスファターゼ陽性の細胞が効率的に増殖した。継代数も10代を越え各種未分化マーカー陽性であることも確認している。現在その細胞の可塑性を確かめるために、in vitro分化を誘導する実験やSCIDマウスへの移植、およびGFPを導入したウサギES細胞をウサギ胚盤胞に注入しキメラ作成も行っている。ウサギES細胞の樹立にはマウスと同様の方法では困難で、さまざまな工夫が必要となる。具体的には用いるフィーダーの種類、その濃度、継代の際の酵素の選択、細胞密度、培地組成などがES細胞コロニーの状態に鋭敏に作用してしまう。現状では「未分化様」の細胞コロニーが効率よく増殖しているが、一刻も早く多分化能の検討を行う必要がある。特に、キメラウサギの作出はジーンターゲティング技術開発に不可欠であり、成功すればそのインパクトも大きい。さらに、実際に遺伝子相同組換えをウサギES細胞で成し遂げるためにはエレクトロポレーションによる遺伝子導入技術を開発しなければならない。これまでに、レンチウイルスでの遺伝子導入には成功しているものの、エレクトロポレーションでは良好な結果が得られておらず、今後の工夫が急務である。