Project/Area Number |
16780206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Basic veterinary science/Basic zootechnical science
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
木崎 景一郎 岩手大学, 農学部, 助教授 (40337994)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | ヘパラナーゼ / 心肥大 / 細胞外マトリックス / ヘパラン硫酸プロテオグリカン |
Research Abstract |
ヘパラナーゼ(HPA)はヘパラン硫酸(HS)プロテオグリカンのHS鎖を特異的に分解するエンドグリコシダーゼである。HS鎖には種々のヘパリン結合性増殖因子群(HB-EGFs)が結合・貯蔵されていることから、HPAは細胞外マトリックスの崩壊を生じさせると共にHB-EGFsを遊離させ、癌細胞の浸潤・転移などに関与することが知られている。本研究は、HPAの心疾患発症シグナル伝達への役割を明らかにすることによって、心血管系疾患のさらなる病態解明及び治療薬開発に対して新たな知見を提供することを目的とするものである。 本年度は,右心室肥大を発症させることが知られている植物アルカロイド・モノクロタリンによる心肥大発症モデルラットを作成し、心肥大発症へのヘパラナーゼの関与を調べると共に、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)活性化を介した心肥大発症シグナルヘのヘパラナーゼの役割を検討した。モノクロタリン(60mg/kg, i.p,)をラットに単回投与し、投与25日後に心エコー検査を実施したところ、左心室の肥大は認められなかったが、右心室の著明な肥大が認められた。さらに心室重量の測定結果では、心エコー検査の結果と同様に、右心室重量が有意に増加した。また、組織学的に検討したところ、1)右心室では左心室と比べ、心室組織の線維化が認められること、2)心筋細胞の肥大が認められることから、モノクロタリン投与により右心室肥大が生じていることが明らかになった。そこで各心室におけるヘパラナーゼ及びマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)遺伝子の発現について調べた。右心室及び左心室から総RNAを抽出し、ノーザンブロット法により各遺伝子の発現を調べたところ、右心室および左心室共に、ヘパラナーゼの発現が増加していた。また、MMP-2遺伝子も同様に両心室で発現が増加していたが、MMP-9についてはモノクロタリン投与により両心室で発現が誘導されることはなく、検出限界以下であった。さらに、実際のHB-EGFプロセシング酵素としてのマトリックスメタロプロテアーゼ活性をザイモグラフィー法により調べたところ、右心室および左心室での前駆体MMP-2の有意な増加、右心室での活性型MMP-2の増加傾向が認められた。一方、遺伝子発現は検出限界以下であったMMP-9は、前駆体および活性型ともに両心室で有意に増加していることが明らかになった。以上の結果から、MMP-2およびMMP-9の両酵素はヘパラナーゼと共に右心室肥大時のHB-EGFプロセシングに関与していること可能性が考えられ、さらに肥大を生じていない左心室においてもその遺伝子発現、活性に変化が認められたことから、肥大発症の引き金として重要な役割を果たしていることが考えられた。
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