Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
まず、植物由来の新規な金属結合タンパク質、すなわち、私が提唱している非SH型の金属結合タンパク質の網羅的検索結果について報告する。H16、17年度において、足尾銅山で採取した植物サンプルからのタンパク質の抽出が困難だったことを報告した。そこで、本年度では植物サンプルを一般野菜に変更し、非SH型金属結合タンパク質の検索を行った。ハツカダイコン、タマネギ、ホウレンソウ、セロリ、キュウリ、トマト、ミカンなどを調査すると、ホウレンソウとキュウリに、目標に合致したタンパク質が存在することが明らかとなった。これらの一部は、熱耐性をもっていた。現在、それらのタンパク質の詳細な分子量の決定と精製手段の検討を行っており、年度末までにMSによる同定を行う。次に、非SH型の金属結合タンパク質のデハイドリンについて報告する。H17年度の金属結合部位の同定成功に引き続き、本ドメインを中心とした付帯機能を調査した。その結果、このドメインは、金属(亜鉛)に依存したDNA結合活性をもつことを見出した。また、このドメインとC末端側に隣接する別のヒスチジン含有ドメインは、さらに強いDNA結合活性をもつことが判明した。これらのドメインは、いわゆる既知のDNA結合ドメインではないので、新規の結合ドメインを発見した可能性があり、その結合様式の解明に取組んでいる。さらに、従来、デハイドリンが生体内の高分子と相互作用する際に必要と想定されていた両親媒性ヘリックスドメインは、DNAとほとんど相互作用しないことが分かった。このように、デハイドリンの配列特性と多機能性との相関が解明されつつある。植物におけるヒスチジン型の金属結合タンパク質が、ストレスに対して重要な役割を担うことを示した画期的な成果である。本成果は、H19年春の日本農芸化学会で報告する予定である。
All 2005
All Journal Article (1 results)
J.Exp.Bot 56・420
Pages: 2695-2703