Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
破傷風菌やジフテリア菌が産出する毒素は大小二つの球形のタンパク質複合体領域をつなげたひょうたん型である。大きな球の部分はラージドメイン(C断片、95kDa)と呼ばれるタンパク質複合領域であり、毒素を脳や脊髄等の中枢神経に運ぶ役割を果たしていると報告されている。しかし、ラージドメインだけでは毒素を運ぶことはできず、スモールドメインが必要となるが、同じ破傷風菌のスモールドメインと結合すると毒素となるため、使用できない。そこで、ジフテリア菌のスモールドメイン(B断片、37kDa)と破傷風菌のラージドメインを結合したものを作成することとした。破傷風菌のラージドメインを得るために、破傷風菌毒素の遺伝子配列2873番目から4228番目(Tbta-L)をpQE30へクローニングした。ジフテリア菌からは毒素のスモールドメインをコードする部分は、その配列から2種類考えられたため、ジフテリア毒素の遺伝子配列1521番目から1980番目(Diph-S-long)と1521番目から1810番目に12塩基配列を付加したもの(Diph-S-short)もPQE30にクローニングした。また、これらのタンパク質が中枢神経系へ運搬されるかどうか検証するため、GFP遺伝子を下流に組み込んだものを作製した。同様に本実験の目的であるTeta-L、Diph-SとGFP遺伝子を繋げたものも2種類作製した。現在、以上4種のタンパク質精製を行っており、今後はこれらのタンパク質が中枢神経系へ運ばれるかどうかを検証していく。